くるくる狂ふ
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09/08/15 A5 36P オフセット一色刷 300円 葉佩への恋心を結局伝えられなかった皆守。 だが、卒業後迎えに来た葉佩に突然監禁されてしまい……。 ※ハッピーエンドです
序盤抜粋サンプル
目を開けると、見慣れない天井が映った。ベッドの上にいるのだと認識してから、葉佩の部屋にいたのだと思い出す。おそらく彼の手によってここまで運ばれたのだろう。 起き上がろうと身じろぎして、違和感。皆守は勢いよく上体を起こし、足元を見た。耳が拾った金属音も、左足に感じた冷たい重みも、錯覚などではなかった。 「何、だよ、これ」 左の足首に、金属の輪がはめられている。そこから伸びた鎖は長くなく、どうやらベッドの足に繋がれているようだった。 非現実的な光景に、思考が停止しそうになる。これが一体どういうことなのか、考えたくなかった。葉佩が自分にこんなことをした、などと。 「あ、おはよう」 ドアが開く音と同時に、当の本人の声が聞こえた。びくりとした皆守は、それからゆっくりと葉佩の方を見た。彼には何の変わった様子もなかった。いつも通りの調子で、もう起きたんだ? と言いながら部屋に入って来てドアを閉める。 「九ちゃん」 「やっぱり《墓守》だもんね。効き悪いに決まってるか」 「……おい」 自然に声が低くなる。コーヒーを飲んだ途端の眠気も、寝ている間の拘束も、葉佩の仕業だとこれではっきりした。それなのに自然体で近づいて来る彼を、問いただそうとにらみつけてやる。 「何のつもりだ、説明しろ」 「そんな怖い顔しないでよ。俺のものになってくれるんでしょ?」 「あァそうかよ、確かに文字通りだな。……外せ」 「冗談」 葉佩は大げさに肩をすくめてみせた。 「今更お前を離すわけないじゃん。お前は俺の《秘宝》なんだよ?」 「いいから外せ!」 「いやあ、まあ」 葉佩は困ったように笑った。 「そりゃ、いきなりこんなことして悪かったとは思ってるけどさ。でも俺、もう決めちゃったんだ」 そう言って、きっぱりと笑った。 「甲太郎は、俺のだって」